第8回鮎川哲也賞候補作。「メルヘン小人地獄」なるものがマスコミに送られてます。悪い博士が小人の脳味噌を使った毒薬を作り、小人が復讐する物語。それに見立てた殺人が実際に発生し、大学院生の三橋は名探偵の登場を請うのでした。2部構成の作品は一つの毒薬で繋がっています。

何故2部構成なのか、必要があるのか。そこが気になっていたのですが、必要ありました。優しい人たちが沢山登場します。特に気に入ったのが名探偵こと瀬川みゆきが解決を急いだ理由。久々に感動しました。こう云うのって大好きです。可成り最初から一つの懸念を抱きつつ読み進んだのですが、杞憂でした。読者を騙すためだけに、いい加減な事をする作家さんではないのですね。優しさと、真実と、哀しさと。素晴らしい作品です。