多島斗志之


<海上タクシー<ガル3号>シリーズ>
二島縁起 (創元推理文庫)
海上タクシー<ガル3号>備忘録 (創元推理文庫)

<ノンシリーズ>
不思議島 (創元推理文庫)

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不思議島
ストーリィ
子供の頃、身代金目的の誘拐にあったことがある二之島ゆり子。都会の臭いがする青年医師・里見に誘われて、無人島に行ったことからその記憶が一気に甦る。15年前、一体何があったのか。時代の変化から取り残されつつある様な島の人々とその暮らし。その中でゆっくり生きてきたゆり子は、真実と向かい合う。
感想
本格の雰囲気がしっかりとしている作品です。医師の里見は、どうしても好きになれないキャラクタ。嫌いとか、単純に云える物ではないのですが、行動の一つ一つが肌に合わない感じです。こういうイヤなキャラクタが出てくると、作家の想像力のすごさに圧倒されます。「このキャラクタは嫌い!」ということは、それだけそのキャラクタに魅了されていることと同義なのでしょう。
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二島縁起
ストーリィ
風見島と潮見島。古来より瀬戸内に浮かぶ二つの島は、互いにお互いを意識し、反駁しあってきた。行く先の分からぬまま船を出すことになっ海上タクシー<ガル3号>の船長・寺田は、島の抗争に巻き込まれてしまう。
感想
瀬戸内は古来より水軍が栄えた土地柄で、歴史があります。その歴史と、海洋ミステリィの要素を上手く融合させただけでなく、非常に読みやすい作品です。船長・寺田の個人的な人間関係なども適度に交えつつ、バランスのとれた良作です。
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海上タクシー<ガル3号>備忘録
ストーリィ
海上タクシー<ガル3号>の遭遇した事件の諸々。

「N7↑」:船から落ちた子供は母親に突き落とされたのか
「部屋の瀬戸」:身代金誘拐事件の現金受け渡しに使われた<ガル3号>
「見えないロープ」:16ノット以下で1時間、尾道までたどり着く方法は?
「謎々」:歴史的な遺物が隠された場所はどこだ?!
「マーキング」:すれ違った船には灯浮標にぶつかると付くマーキングがあった
「コウゾウ磯」:乗り上げてしまい身動きがとれなくなった船を助けたが…
「灘」:<ガル3号>の運行を手伝ってくれた弓が辞めると云う
感想
海上タクシーという馴染みのない仕事、海洋ミステリィという特殊な設定でありながら、比較的すんなり作品に入ることができます。短編集なのですが、どの作品も、少々あっけないのが特徴。「あれ、もう終わり?」と思うほど、結末が駆け足です。ちょっと拍子抜けする感もありますが、こういう潔いのも味があると思います。
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