司凍季
<一尺屋遙シリーズ> |
湯布院の奇妙な下宿屋 (光文社文庫) |
<ノンシリーズ> |
屍蝶の沼 (光文社文庫) |
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湯布院の奇妙な下宿屋 |
ストーリィ
隣人に請われて一尺屋遙の手助けをすることになった八木志朗は作家志望。今回、一尺屋の行動をそのまま纏めて出版しようと目論みます。一尺屋がいたのは湯布院。莫大な遺産相続の問題が表面化し、不穏な空気が流れています。これまでに起きていたのは、ほんの小さな事件ばかり。しかしある日、遂に殺人事件が。一尺屋は例によって、ただ一人真実を見ているのです。
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感想
大きなトリックと魅力的な探偵、それが期待できるこのシリーズ。一尺屋は少し大人しくなった感じもしますが、「本格」の雰囲気がいっぱいに漂っています。しかし、まだまだ良い作品になると思います。登場人物の描写(例えば外見的なこと等)が少なく、会話の調子が同じです。同じテンポで多くの人物が生きている感じと云うことも出来るでしょう。その辺りに改善がなされると、同じトリックももっともっと栄える筈です。トリックや大筋としては可成りのレヴェルですから、ディテールを詰めることでさらなる進化が期待できます。
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屍蝶の沼 |
ストーリィ
平和な田舎町で起きた無惨な殺人事件。被害者の少女は、全裸で放置された上に、薬指を切断されていた。羽室新報に努める稲葉菜月は、昔の恋人・高野舜に調査を依頼する。やがて新たな殺人事件が発生。高野は、事件の裏に潜む大きな影を感じていた。
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感想
ホラー色の強い作品です。調査を進める高野が推測する真相。舞台が田舎町でなければ、ちょっと受け入れ難いものです。しかし、都会から離れた舞台が、それを納得できるものと認識させてくれます。舞台を巧く使い、不穏な雰囲気、不安な気持ちを読者に訴えかけています。
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