柄刀一
<龍之介シリーズ> |
殺意は砂糖の右側に (祥伝社文庫) 幽霊船が消えるまで (祥伝社文庫 |
<ノンシリーズ> |
アリア系銀河鉄道 (光文社文庫) 火の神の熱い夏 (光文社文庫) マスグレイヴ館の島 (光文社文庫) |
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殺意は砂糖の右側に |
ストーリィ
天才、龍之介がおどおどし乍ら事件を解決するシリーズ。龍之介の従弟光章と恋人(?)の一美。舞台は日本からフィリピンへと移っていきます。
「エデンは月の裏側に」:小競り合いの相手に矢が刺さり死亡 「殺意は砂糖の右側に」:しろうと料理腕自慢大会の会場で事件発生 「凶器は死角の奥底に」:ナイトクラブの裏側で発生した殺人事件 「銀河はコップの内側に」:天文学者の父に会いにフィリピンへ行く少年と共に… 「夕日はマラッカの海原に」:大きく見える月、フィリピンに到着してもやっぱり事件 「ダイヤモンドは永遠に」:隠し場所は何処? 日本とフィリピン同時の探し物 「あかずの扉は潮風の中に」:龍之介の世話をしてくれる中畑さんは何処? |
感想
天才と大きく副題にまで登場していますが、どちらかといえば秀才です。龍之介が優れているのは「知識」や「記憶」。それらから鋭い推理を展開する…とはちょっと違います。普通の人ではあまり知らないこと、気付かないようなことを知っている。データベースみたいな感じです。2章の砂糖のトリックは可成りスゴイと思います。これは短編で使ってしまうのが勿体ないような…。
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幽霊船が消えるまで |
ストーリィ
IQ190の天才、龍之介が従兄弟の光章と出会った不思議な事件。フィリピンはマニラで旅費をなくした彼らは、ひょんなことから貨物船に乗せてもらえることになる。そこで龍之介が見たものは、本当に幽霊船だったのか。日本に帰ってきた二人は、一美の存在がアクセントとなりながら、色々な事件に巻き込まれていきます。
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感想
やっぱり秀才と云う感じです。「秀才、龍之介がゆく!」ではダメなのでしょうか? 個人的には、とてもしっくり来る上に、或る意味でインパクトが強くなると思うのですが。そもそも、何をもってして天才と人は感じるのか。そこが問題です。著者は読者に対し、龍之介のどの部分(シーン)を「天才」と感じさせたいのでしょうか。そこが伝わってきません。別に天才に拘る必要はないと分かっていますが、やっぱり気になってしまいます。
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アリア系銀河鉄道 |
ストーリィ
紅茶をこよなく愛する宇佐見博士が遭遇した不思議な世界。
「言語と密室のコンポジション」:不思議な言葉の世界で起きた密室の謎 「ノアの隣」:ノアの方舟の真実に迫る宇佐見博士 「探偵の匣」:吉武博士のお見舞いに行くことになった宇佐見博士 「アリア系銀河鉄道」:父親を亡くした少女と乗った銀河鉄道 「アリスのドア」:部屋から出ることが出来るのか?! |
感想
最初の作品から途轍もなく難解です。一風変わった設定のこの作品。その世界に対応するよりも早く、謎が降ってきました。しかもメチャクチャややこしい。発想は面白いですが、こじつけと紙一重。漸く世界を理解したのは解決が済んでからでした。が、そこを乗り切ると、どんどん読み手が世界に順応していけます。「探偵の匣」は、これまた難解ですが納得できる様になります。そして表題作へ。順番的にも良いようです。 それにしても解説がとっても豪華です。
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火の神の熱い夏 |
ストーリィ
実業家の加瀬恭治郎が、消失したコテージの中で発見された。刺殺された状態で。何故、誰によって殺されたのか。容疑者はごく限られた人間だけ。警察の捜査が始まる。6年前に起きた事件との繋がりは? 二転三転する展開の末、驚くべき真実が明らかとなる。
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感想
二転三転する展開、驚愕の真実。それは良いのです。が、そこまで持って行く過程がイマイチ。先ず、登場人物や設定が、まだ読者に伝わっていない状態で事件が発生。その後も、登場人物が、ひたすら事件について話しているだけなのです。世界に入ることが出来ない。ちょっと離れた視点で、作品を眺めていることしかできませんでした。淡泊。素材は良いのに、表現に少々難がある様に感じました。
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マスグレイヴ館の島 |
ストーリィ
イギリスが生んだ偉大なる世界の名探偵シャーロック・ホームズ。その名声を今に伝えるシャーロック・ホームズ・ソサエティーに一通の招待状が届いた。正典『マスグレイヴ家の儀式』の矛盾を指摘した者には賞金を与えるとの内容。孤島に集まった参加者たちだが、次々と魔の手に襲われていった。
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感想
物語の導入部分は比較的魅力に富みちょっと期待したのですが、展開が進むに連れ、どうも作品の中に入り込めない、傍観者の気分でした。ミステリィ作品にまつわる謎を解く,孤島の館を舞台とする,次々と発生する事件。本格ミステリィとしての要素は十二分であるにもかかわらず、遠くからぼんやり眺めてしまったのは何故でしょう。トリックも決して悪くないのですが、完全に冷めた目で読んでしまったので勿体なかった感じです。
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