浦賀和宏
<ノンシリーズ> |
彼女は存在しない (幻冬舎文庫) ファントムの夜明け (幻冬舎文庫) |
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彼女は存在しない |
ストーリィ
恋人の貴治と楽しい時間を過ごす香奈子。その平穏は貴治の死と云う形で訪れます。貴治は誰に、何故殺されたのか。貴治,加奈子の友人で作家の浦田。妹が多重人格でないかと苦悩する根本とその恋人恵。次に殺されるのは誰…。
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感想
流石です。やっぱりこの人は凄い。再認識。「犯人は精神異常者だった」、で片付けるのが手っ取り早いミステリィの逃げ手段。しかし浦賀和宏の場合そういうことはありません。内容は可成り重い作品ですが、人物の書き分けが素晴らしく、多重人格も違和感なく組み込まれています。途中からストーリィはどんどん重くなりますが、終わらせ方が良く、すっきりした感じも残りました。トリックにもドボっとはまりました。
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ファントムの夜明け |
ストーリィ
一年前に分かれた恋人を訪ねる主人公・真美。友人に一冊の本を届けて欲しいと依頼されたためだった。共に過ごしたアパートを訪れる真美は、彼が失踪したことを知る。どうやら現在の彼女の元の恋人とトラブルが起きた様子。そんな中、彼女の頭の中には、色々な声が聞こえ始めていた。それは、幼くして死んだ妹の持っていた能力、死者との会話であった。
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感想
やはり文章が肌に合います。とても読みやすく、この世界に強く引き込んでくれます。不思議な能力が発生しても、特に違和感はありません。すんなり入り込めるのです。全体を通してみると、起承転結の起承は文句なしです。が、転結が弱い印象。どことなく、あっけない感じを受けるのです。シリーズ物の1作目に思えてしまいます。自分の能力を受け入れ始めた主人公の行動とその描写が、どうも駆け足になっている気がします。
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