若竹七海


<葉村晶シリーズ>
悪いうさぎ (光文社文庫)

<大道寺圭シリーズ>
死んでも治らない (光文社文庫)

<ノンシリーズ>
心のなかの冷たい何か (光文社文庫)

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悪いうさぎ
ストーリィ
家出少女のミチルを連れ戻す手伝いをする事になった女探偵・葉村晶。ところが暴走者のとばっちりを受けて重傷、入院する羽目に。漸く退院したと思えばすぐさま仕事が。ミチルの友人が姿を消し、すでに数日が経過しているとのこと。乏しい手掛かり、役に立たない身内の証言。難しい調査の結果、さらに別の少女も姿を消してることが判った。
感想
キャラクタの書き分けと、特徴付けがとてもしっかりとした作品。性格・口調・雰囲気、明確に異なる個々の人物が、ストーリィに大きく影響しています。展開はとても変化に富み、何時何が起こるか、何時状況が変わるか分からない楽しさがあります。自然、文章をしっかりかみしめていることに気付きます。最後はもう少し現実的な展開・背景であればより良かったと思いますが、それを差し引いても可成りの良作と云えるでしょう。
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死んでも治らない
ストーリィ
元警察官だった大道寺圭。退職した彼は、何故か一冊の本を出版することになってしまいます。内容は、警察官だった頃に巡り会った、マヌケな犯罪者を紹介したもの。それをきっかけとして、彼は様々な事件に巻き込まれることになります。
感想
ユーモアミステリィに毒が入った感じの作品です。事件が次々と大道寺圭を襲いますが、どれも一筋縄ではいきません。いろいろな意味で。そこに毒が入っているところがポイントです。短編集にありがちな物足りなさを、本作から受けることはありません。次は何が起こるのか、次は何をやってくれるのか、期待がページをめくらせます。意外と緻密な作品と云う印象も受けました。
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心のなかの冷たい何か
ストーリィ
一ノ瀬妙子。彼女に出会ったことから、私の人生は変わった。折しも私は勤めていた会社を辞め、精神状態は必ずしも万全ではなかった私。彼女は唐突に現れた。そして唐突に…。私こと若竹七海は真相への第一歩を踏み出した。
感想
タイトルにあまり魅力を感じなかったため、長い間積んでしまっていたのですが、とても良い作品です。一番魅力的なのは、潔癖な人の表現がリアリティに満ちていること。息苦しいほどの説得力が、この作品全体を支配して、大きな力となっています。早く読むべきでした。
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