山口雅也
<キッド・ピストルズシリーズ> |
13人目の探偵士 (講談社文庫) |
<垂里冴子シリーズ> |
続・垂里冴子のお見合いと推理 (講談社文庫) |
<ノンシリーズ> |
生ける屍の死 (角川文庫) |
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13人目の探偵士 |
ストーリィ
キッド・ピストルズが登場します。パラレル英国ロンドンに、殺人鬼が現れます。殺人鬼は「猫」と名乗り、一流の探偵ばかりを狙い、既に11人が殺されました。しかし一人の探偵が猫を追いつめ、その正体を見破り…と云うシーンから始まります。記憶を失った男は何者か、彼は自分の身をどの探偵に委ねるのか。ゲームブックの様であり、ゲームブックではない。趣向を凝らした作品です。
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感想
いきなり始まる解決シーン。「あなたが、犯人ですね」から始まるストーリィ。これは犯罪です。こんなの見たら、もう離れられません。実は山口雅也のパラレルワールドが少々苦手な私ですが、今回は全然問題なし。気付いたらその世界のまっただ中。しかも読み進むと選択肢が。でもゲームブックとは違うのです。この趣向が、そして雰囲気がとても自然な印象を受けました。ただ、犯人の犯したミスは余りにも単純過ぎで、他の行動とそぐわないと思います。そこが唯一残念。
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続・垂里冴子のお見合いと推理 |
ストーリィ
垂里家の長女・冴子のお見合いは、いつも事件続き。次女の空美がそれを引っかき回し、浪人生となった弟・京一も結局巻き込まれます。
「湯煙のごとき事件」:<子宝の湯>で倒れていた女性が消失する 「薫は香を以って」:エステティックサロンに飛びついた空美が暴走 「動く七福神」:京一が通う塾の講師とお見合いをする冴子 「靴男と像の靴」:<エレファント・シュー>に秘められた意味とは |
感想
シリーズ第2弾も軽快なテンポでストーリィが進みます。冴子は非常に優しい女性ですが、事件を明らかにした後、それをうやむやにすることはありません。彼女たちが黙っていれば公にならない場合でも、然るべき行動をとります。冴子の厳しさであり、また、優しさなのでしょう。
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生ける屍の死 |
ストーリィ
死者が蘇る不思議な現象が発生し、巷の話題をさらいます。ニューイングランドの片田舎、スマイル霊園でも、遂に死者の蘇りが。遺産問題と絡んだ複雑な人間関係とそれぞれの心理。やがて次々と死者が。そして生ける屍が。生者と死者が同じ世界で、同じように振る舞う不思議な状況が、事件を複雑怪奇な物へと変えていきます。
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感想
舞台が霊園ですから、過去に死んだ人までどんどんゾンビとなって生き返るホラー作品かと思っていましたが、そう云う雰囲気ではありません。何と云っても死者の振る舞いが素晴らしい。普通、死者が蘇ったら、怯えるのは生きている者たち。しかし、この世界では死者だって途惑い、怯えるのです。その当たり前な反応が、作品を受け入れやすいものとしているのでしょう。
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