唯川恵


<ノンシリーズ>
ため息の時間 (新潮文庫)

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ため息の時間
ストーリィ
自分勝手な人たちの、それでも人間的な物語。

「口紅」:病身の妻が求めたのは、これまで使うことのできない口紅だった
「夜の匂い」:花好きな女と付き合ったが、友人の女性がつきまとう
「終の季節」:リストラと、娘の友人と、自分自身
「言い分」:どっちもどっち、勝手にしてくれ…
「僕の愛しい人」:本当に愛した女性、結婚した女性、そして子供
「バス・ストップ」:理想の妻、若い愛人。恵まれた男が知ることになる真実
「濡れ羽色」:カラスが言葉をはなす?
「分身」:年の離れた若い妻の事が気になり、あれこれと行動を起こす夫
「父が帰る日」:家族を捨てた父が突然現れ戸惑う
感想
最初の作品「口紅」は秀逸。妻に化粧をさせない、口紅を塗らせない横暴な夫。それを受け入れた妻。しかしその裏にはきちんとした理由がありました。何か一つの原因で、物事は全く別の見え方にもなり得る。他の作品も、途中で読者の視線は変えられて、違った側面を見せられるでしょう。
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