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司馬懿の怖れ |
対蜀の総大将曹真が病死した。
曹叡は後任として司馬懿を指名した。
| 諸葛亮は
あらゆる場面を想定して兵を配置しているため うかつに手を出せば、きっと痛い目にあうだろう。 ここは専守防衛に徹するのが、無難だ。 |
と砦に立てこもり、撃って出ようともしない。
蜀軍は魏軍を挑発した。
魏の諸将は出撃を請うた。
司馬懿は仕方なく出撃を許したが、
諸葛亮の用兵の前に、さんざんに打ち破られた。
司馬懿はますます殻のように閉じこもった。
対峙は長期に及んだ。
蜀は今回は兵糧が豊富であったため、退却の様子を見せない。
なおも魏に対し挑発を続けた。
魏の緒将は司馬懿が諸葛亮を虎のように怖れていると不満を漏らした。
困った司馬懿は、皇帝曹叡に出撃の許可を請う書状を出した。
| 出撃してはならぬ。朕の命じゃ。 |
曹叡はその返事に守備に徹しよと命令を出したため、
魏将はそれ以後口を出さなかった。
| 丞相、魏は曹叡自ら出撃禁止の命令を出したそうです。 これでは、ますます、魏は出撃してこなくなるでしょう。 |
| 司馬懿は最初から出撃するつもりは無かったのだ。 いささかも出陣する意図があるなら、わざわざ、曹叡まで 知らせることも無いはずだ。 |
諸葛亮は兵糧の輸送の問題を解決するため、
自ら木牛という輸送車を考案し、兵糧の調達を円滑化したのだが、
それでも険阻な道を切り抜けて、遠征しているため、兵糧の
運搬が遅れがちであった。
兵糧担当の李平は兵糧の遅れを隠そうと、偽の勅命をでっち上げ、
諸葛亮に退却を促した。諸葛亮は仕方なく退却した。
司馬懿は追撃の兵を挙げた。
しかし蜀軍の伏兵に襲われ敗北を喫し、
魏の名将、張郤は木門の地において、足に矢を受け死亡した。
| むむ。不覚。やはり追撃するのではなかった。 司馬懿はあの男と戦ってはいけない。 |
勅命をでっちあげた李平は事がばれ、平民に落とされた。