砂利が仏佛と敷かれた庭を抜けると、大きなクの字型の屋根の本殿に辿り着いた。
和尚はいないのだろうか・・・そこには只、お香の匂いだけが立ち込めていた。
これはしめたものだ、そう思い10円玉の色をした本尊の前のお供え饅頭に手を伸ばす。
こしあんだ・・・味皇のリアクションとまではいかないが、その場の勢いで、般若心経を一説唱えてから廊下を雑巾拭きで駆け回った。
童心に還った所で
さぁ、そろそろ戻ろう、そう思いお寺を後にしようと元の石版の前まで来たその時、目の前にサンプラザ中野ばりのスキンが2人。
和尚が帰って来たのだ・・・慌てて金剛力士像の影に身を隠す。
すると突然、隣にいた弟子と思われる坊主が和尚の前にひざまずいた。
そして尻を突き出し
「和尚様どうかわ・・・わたくしめに罰をお与えください」
「なに?お前が何をしたというのか」
「不躾ながら和尚様・・・貴方に情を奪われてしまいました・・・故に座禅の時に持っているあの棒でわたくしめの尻をお叩きになって」
「ぬう煩悩にうつつを抜かしおったというのかこやつめ。えい。えい。」
「お許しくださいませお許しくださいませ」
「わはは何か楽しくなってきた」
もう少し見ていたい気もしたがどうにも怖くなったので一目散で走り抜けた。
幸いだったことは
彼らは遊戯に興じている余りこちらに気付きもしなかったことだった。