02 大戦

 この大陸には、知能を持った二つの種族が存在する。
 一つは我ら人族と呼ばれる者たち。我らは、火を使い、道具を作ることで、科学という
名の文明を発達させた。
 もう一つは魔族と呼ばれる者たち。彼らは、自然に潜む森羅万象を取り込むことで、魔
法という名の文明を発達させた。
 しかし、我らは決して、互いに力を取り合うことはなかった。
 かたや、自然を利用し進化を求め、かたや、自然の内で調和を求め、とあれば、考え方
も生活も文化もまったく異質のものだったからだ。
 そこで生まれた小さな軋轢《あつれき》は、長い年月を経て次第に大きく募り、いつし
か二つの勢力は、お互いを忌み嫌うようになっていった。
 人族と魔族は、度々領界線や遺恨から戦争を繰り返し、小さな戦争は、やがて大きな戦
争へと発展した。
 王国暦15世紀初頭。我らの大戦は苛烈を極めていた。
 人は作り出した武器を振るい、魔は練り出した魔法で応戦する。両勢力は一歩も退かず、
国は疲弊していった。
 そんな折、人族の中に勇敢な女騎士が現れた。
 彼女は数人の仲間と共に敵陣へと忍び込み、魔族の王へ一騎打ちを申し込んだのだ。
 魔族の王もその勇気に応え、二人の戦いは三日三晩続いたと云われる。
 壮絶な戦いの末に二人は相、力尽き、王を倒された魔族たちは、森深くまで軍を退き、
また、人族にもそれを追う力は残されておらず、結局、先の大戦は両者痛み分けで幕を下
ろした。
 だが、忘れてはいけない。人族も魔族も、決して両者を許してはいない。これはいつか
また、大いなる戦いが我々を戦火に巻き込むことの明示なのである。
 
                        先の大戦を経験した識者の言葉
 
      プリンセス・メーカー・4 〜小さな勇者達の物語〜
          Princess Maker 4  a Little Braves Story
 
 
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