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■菓子舗■
 江戸時代、名古屋の菓子屋の双璧といえば、「桔梗屋」と「両口屋」であった。
 特に桔梗屋は、初代藩主義直が駿河から名古屋へ入国した際に共に従って名古屋入りした通称「駿河越」の旧家で、 尾州家御用達を務めた。
 「名古屋菓子は品質においては桔梗屋が最上、 両口屋は藩邸の御用をもって有名」であったという。
 しかし桔梗屋は明治年間に休業し、その技術は「美濃屋(現・美濃忠)」「松川屋」「不老園」等に受け継がれ、 現在に至っている。
 無論、両口屋は今尚健在で、名古屋一の老舗の地位は揺るぎない。

 そもそも名古屋や尾張・三河では、 文化・文政期から異常なほどに茶の湯が流行した為に抹茶を飲む習慣が市井にまで深く浸透し、 更に明治以後、西尾が抹茶の一大産地となったことでこの習慣はより一層深まった。
 その為に、名古屋(愛知)では昔ほどではないにしろ非常に多くの和菓子屋が軒を連ねている。

 名古屋の上菓子の特色を端的に示すならば、「大ぶりで、品の良い淡い色使い、 しかしどこか一抹野暮ったい」といえる。(大ぶりだから一抹野暮ったいのかも知れない)
 もちろん実際には菓子屋ごとにその特徴は千差万別なのだが、全体の印象としては当らずしも遠からずであろう。

 上菓子、特に茶席で使えるような菓子を作るのは本当に難しく、 茶会の季節・趣向・格を考慮せねばならないし、 材料は決まっているし(約束以外の材料を使えば「駄菓子」に転落)、 なにより、色・形・味のどれもがお茶に適っていなければならない。
 そんな菓子が作れる店がそうそうあるハズもなく、だいたい一都市に一店あれば良いほうなのだが、 さすが名古屋は茶処と言われるだけあって、「茶席用の菓子」が作れる菓子屋の数は頗る多い。

 そんな数多くの中から、ここで紹介する店舗を選ぶために、 名古屋の茶会で使用された菓子屋ランキングを製作した。↓

茶席の和菓子屋ランキング

 以下に、上記ランキングでの1位から5位までの和菓子屋を紹介する。
 どの店でも生菓子は概ね300円以内で、京都の相場を考えれば信じられないほど安い。
 だからと言って味が落ちるわけではなく、むしろ上品で軽やかであると思う。

 なお、言わずもがなのことではあるが、いくら名店や老舗であっても、例えば支店を出すような規模の店になると、 その店頭販売での上生菓子の品質は極端に落ちる。
 従って、店頭で買った上生菓子を賞味して「名古屋の菓子はこんな程度か」と早計に決め付けずに、 是非ともお茶席で賞味してから評価して頂きたい。



川村屋

 名古屋の和菓子屋の隠れた名店である。
 大きく宣伝していないので一般的な知名度は低いかもしれないが、 その確かな技と味は名古屋の茶人の間でも高く評価されている。
 手を広げることを考えずに、専らに上菓子を追求する、非常に真面目なお店である。
日曜祝日定休

中区新栄2−18−1 рO52−262−0481  <地図>


松華堂

 この松華堂への名古屋の茶人の支持は絶大で、その名は名古屋を遥か越えて全国に轟く。
 無論、実際に味・技術・バリエーション共々、これほど「松華堂、松華堂」と騒がれるのも肯ける見事なものである。
 その中でも特に評価が高いのが「きんとん」系のもの。名物となっている「千代の糸」を代表として、本当に上品・見事な味と形。
 名古屋の茶会で、お菓子の美味しさと美しさに思わず 「どちらのお菓子で?」と尋ね「松華堂で御座います」との答えに「なるほど・・・! さすが松華堂ですね!」と一同大きく肯く光景は珍しくない。
 頻繁に更新されるHPも秀逸。和菓子好きには堪らないページとなっている。
 なお、店舗は名古屋市内ではなく、知多半島の中ほどの街、半田市にある。

松華堂・公式HP 

水曜定休 営業時間:8時〜17時半

半田市御幸町103番地 рO569−21−0046 <地図>

美濃忠

 かつての名古屋最高の上菓子屋「桔梗屋」の流れを受け継ぐ名門老舗和菓子屋がこの美濃忠(みのちゅう)。
 一番評価が高いものが羊羹等の棹物。これに関しては正に名古屋の虎屋だ。美濃忠=棹物である。
 特に「上り羊羹」「初かつを」は美濃忠の名物でもあり、名古屋の上等な進物菓子の代表でもある。
 檀渓通と平和公園に支店があるほか、名駅や栄の主要デパートにも入っている。

美濃忠・公式HP

本店:中区丸ノ内1−5−31 рO52−231−3904  <地図>

芳光

 芳光(よしみつ)は恐らく、今、名古屋で最も「元気」な和菓子屋ではないだろうか。
 老舗のひしめく名古屋では明らかに新参の和菓子屋である筈なのに、 「芳光」の名前は広く浸透しており、 茶会で使用される頻度も多い。
 一般の名古屋人の間では、ここでは何より「わらび餅」が有名であるが、 そのほかの上生菓子も独特の「やわい」口当たりが印象的で、とても美味しい。
 店は徳川美術館の南、出来町通沿いにあって、美術館からは徒歩圏内である。

日曜定休 9時〜18時

東区新出来1−9−1 рO52−931−4432  <地図>

両口屋是清

 言うまでもなく、名古屋を代表する老舗和菓子屋。茶会での使用率は他を圧して極めて高い。
 それは名古屋で贈り物には松坂屋でなければならないように、茶会の菓子は両口屋と決まっているかのようである。
 菓子は「両口屋是清製」でお茶は「松柏園詰」というのが、名古屋の茶会の定番である。
大手だけあって、ホームページも充実している。 支店等、非常に多いので、詳細は両口屋ホームページにて御確認を。両口屋HP

本店:中区丸の内3−14−23 рO52−961−6811
<地図>

地図で場所を確認したい時はこちら→ グーグル地図

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