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■豊田地域文化広場 茶苑■
 豊田の市街地から南西に5キロほど行った田園・工場地帯に、豊田地域文化広場なる文化施設がある。 この施設には茶苑が併設されており、主屋の「けやき亭」と離れの茶席「毛受庵」の 二棟が配されている。
 茶苑入口の案内板には次のようにある。

< 施設のあらまし

 茶の湯は、日本の伝統的な生活文化の中でも、最も代表的なものとして知られています。それは長い歴史を通して 私たちにつちかわれてきた生活に対する心構えや、智恵や、工夫をもとにして、自らの手で造り上げてきた特色ある 文化です。
 毛受佳介氏より寄贈を受けて、豊田地域文化広場に移築された茶室『毛受庵』は、 明治の中頃、平井村(現在の豊田市平井町)出身の国会議員、故今井磯一郎氏によって建てられ、 その後、大正年間に、豊田市寺部町の旧家、故毛受小重郎氏が譲り受け同家に移したものです。
 その遺構は数寄屋建築の第一人者である、 京都工芸繊維大学教授中村昌生先生より「品格のある茶室である。」との折り紙をいただいています。
 この施設の立地する旧高岡地区は、豊田茶の産地として銘茶の誉れを全国に知られており、 茶処にふさわしい本格的な施設として、この由緒ある茶室『毛受庵』を中心に茶庭『露地』、 書院飾りのできる客座敷書院『けやき亭』より構成されています。 >

 恐らくは地元でお茶を教えているご婦人が起草した文章だろうが、 ご婦人同士の自慢話と同じ調子で、中村先生のお名前とコメントを誇らしげに記載しているのはいかがなものか。
 そもそも茶室の構成や茶室の読み方についてなど、記載すべき事項すら記載されていないのである。
 茶室の読み方・・・つまり「毛受庵」の読み方であるが、「もうじゅあん」でも「けじゅあん」 でもない。「めんじゅあん」と読む。「毛受(めんじゅ)家」 から寄贈されたからである。愛知県に多い姓ではあるが、普通はまず読めない。
   

豊田地域文化広場茶苑案内板  茶苑案内板。内容は上述の通り。
茶苑入口  茶苑の入口。
 市街地外にある茶道施設としては驚くほど本格的で、管理も行き届いている。
毛受庵の露地門 毛受庵の扁額
 毛受庵の露地門<左>と扁額<右>
 露地門の奥に見えるのが毛受庵。
 扁額には「栄山題・不及刻」とある。特に栄山という人の名は豊田地方の公共茶室 の扁額で頻繁に見かける。又日庵、喜楽庵、等々。
 しかし余計なお世話だろうが、茶室の庵号をこのような四角四面な隷書で書いては、固過ぎて不自然である (但し庵号を隷書で書く例は少なくない)。
 それにどうして緑色にしたのだろうか。印が必然的に赤になるから、緑と赤では目がチカチカするので、 お茶に関係あろうとなかろうと、普通、緑色にはしない。


腰掛待合  腰掛待合
 
中潜り  中潜

 何かがおかしいと思ってよく見てみると、倒壊防止のつっかい棒が取り付けられている。
 中潜りは木割りが細いから、太いつっかい棒はいかにも武骨で不釣合いである。 もっとも、そのままでは誰が見ても耐震性ゼロなのだから、公共施設としては止むを得ない。
毛受庵外観  毛受庵の外観。

 切妻瓦葺、特にこれといった特色もなく、非常に単純な構成で、茶道に無縁な人の目にはただの小屋 にしか見えないだろう。
 ここでも補強柱がしっかり入れられ、地震対策は万全。
 
毛受庵外観  躙口はなく貴人口のみ。
 やはり濡縁もないのに柱が立ち並んでいるというのは、かなり違和感がある。
 また沓脱石が随分小さいような気がする。  
 ↓毛受庵内部

 袋床の二畳台目の席。台目畳には向板が入れられているので、 実質三畳の広さ。
 床は踏込床にもなっており、且つ浅く、格式張らない軽やかな印象になっている。
 南面には貴人口と連子窓・風炉先窓、西面には大きな下地窓二つの色紙窓が開けられ、とても明るい。
 袋床であること以外は、外観と同じく非常に単純明快な構成で、すっきりとしている。 従って幾分物足りなさを感じなくもないが、いたずらに奇をてらった茶席よりはよほどお茶に適っており、好ましい。

 
毛受庵内部 毛受庵内部
毛受庵内部 毛受庵内部
毛受庵水屋  ←毛受庵水屋

 天袋に白菊が描かれ、雅びである。
 ↓けやき亭入口<左>とその扁額<右>
 毛受庵と同じく、扁額には「栄山題・不及刻」とある。相変わらずお茶とは無縁な字体。
けやき亭入口 けやき亭扁額
けやき亭玄関  けやき亭玄関

 御覧の通り、けやき亭自体は外観・内装共にお茶会用の数奇屋として申し分ない。
けやき亭・四畳半席  四畳半席

 けやき亭の最も奥にある茶席で、この隣に広間席と兼用の水屋が付随する。

 床脇に台目畳を入れる代わりに塗りの板敷としているので、四畳半席といっても 広さは実質四畳半台目。
 塗りの板敷によって格調高さが加わった、総体に端正な席である。    
けやき亭・広間  広間(八畳)

 控えの間として六畳の座敷がある。  

豊田地域文化広場

豊田市西田町けやき1  地図
(0565)53−0671

※貸出し等の使用料・申込方法については下記公式HPにて御確認下さい。
http://www.inuyama.gr.jp/normal/kokusai_koryu/freude/index.html


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